Made To: Sing
更新日:9月17日
The Tsubame Trousers

ようやく秋が忍び寄ってきました。
いつものことですが、またひとつ年が終わりへ向かっていくこの時期になると、私はどうしてもノスタルジーに浸ってしまいます。なぜなのかは自分でもよく分からないのですが、F・スコット・フィッツジェラルドが『グレート・ギャツビー』の中で言ったこの言葉が、きれいに言い表しているような気がします。
「秋の空気がきりっとしてくると、人生はもう一度始まる。」
私は単純で、ちょっと古風な人間なので、気温が下がってきていちばん嬉しいのは、またいろいろな心地よい質感に身体をすっぽり包み込めるようになることです。空気が変化するにつれて、どんどん重ね着をしていき、しまいには人間なのかどうかも分からないような姿になってしまいます。
ウールの暖かなセーターに包まれる心地よさはもちろんですが、天気が涼しくなってくると、しっかりとしたトラウザーズの持つ構築的な感じもまた好きになります。
いろいろなタイプを持っていますが、いちばん好きなのは「プラス・ツー」。長いソックスと合わせるのが大好きです。
でも最近は、「フィッシュテール」と呼ばれる、後ろが魚の尾のような形になったサスペンダーバックのデザインにすっかり夢中になっています。

19世紀、トラウザーズがブリーチズから発展していく過程で、衣服のさまざまなディテールは、あるものはそのまま実用性を保ち、またあるものは次第に役目を失っていきました。
ブリーチズは身体にぴったりと沿うように仕立てられていたため、ウエストの後ろの縫い目をコルセットのように紐で締めて、サイズを調整するものがよくありました。
一方、トラウザーズにはタックやドレープがあるため、コルセットのような調整方法よりも、絞ってフィット感を調整できるシンチベルトのほうが実用的になっていきました(これも私は同じくらい夢中になっているディテールです)。
人間というのは、習慣を捨てられない生き物でもあります。スタイルと伝統を残すためでしょうか、トラウザーズの後ろに、かつて紐を通すために必要だったV字型の切り込みは、紐がなくなった後も残りました。そして1930年頃には、いつしか愛情を込めて「フィッシュテール」と呼ばれるようになったそうです。
私はこのディテールがたまらなく好きです。何世代も前の衣服から残された、美しくて愛らしい名残のように感じます。もし私の持っているトラウザーズすべてにこれを付けられるのなら、間違いなくそうするでしょう。
日本は魚をこよなく愛する国ですが、V字型のものを表すときには、私たちはたいてい「燕(つばめ)」になぞらえます。
Made Toでは、私たちが作るものすべてに小さな燕のモチーフを添えているので、ここでも燕に敬意を表すのがふさわしいと思いました。
こうして、「Tsubame(つばめ)」トラウザーズが少しずつ形になり始めました。
私は、はっきりとしたデザインが決まる前から素材を探し始めました。素材そのものがデザインを教えてくれることが、ときどきあると思っているからです。
このトラウザーズは、ほとんどどんな生地でもオーダーしていただけます。ただ、最初の一着には日本製のデニムを選びました。
というのも、世の中は昔よりずっとカジュアルな場所になったのだな、と最近ようやく実感し始めたからです。そして私は、人が思いきり着て、何度も何度も身につけてくれるような服を作りたいと、強く思うようになりました。
ウエストの内側の見返しとポケットには、国内で織られた赤いストライプのシャツ地を選びました。とても丈夫そうだったことに加えて、二つの生地を組み合わせたときの色と構成が気に入ったからです。
赤いストライプは、セルビッジに入っている赤いラインとも呼応しています。そこはあえてそのまま残しました。

国内で作られた服飾資材をあれこれ探し回り、リベットや糸まで日本製のものを揃えました。つまり、100%日本製。そして何より、日本の熟練した仕立職人の手による一着です。
地元の産業や、ここで技術を受け継いでいる職人たちを支えながら、同時に素敵なものを作れるというのは、やっぱり気持ちのいいことです。
それでは、これ以上あれこれ言わずに。
こちらが、その全貌です。

今回のトラウザーズ作りは、素材についての個人的な好奇心を満たす実験であり、同時に、昔から続く仕立ての伝統への小さな祈りのようなものでした。
とはいえ、もし万が一、どこかに「自分のためにも一着ほしい」と思ってくださる方がいらっしゃいましたら、こちらからどうぞ。
まずはオンラインストアへお越しいただき、トラウザーズをカートに入れてください。ご注文の際に、採寸項目をすべてご入力いただくと、こちらから「トラウザーズ・ミーティング」のご案内をお送りします。
入力していただく採寸が、最初からぴったり正確でなくても、どうぞご心配なく。海外にお住まいの方にはオンラインで、東京にお住まいの方には直接お会いして、フィッティングを行います。そこで細かなところまで確認し、きちんと製作をスタートさせます。
最初の採寸は、生地を準備するためにも必要なものです。使用する生地は岡山から取り寄せなければならないためです。
一着ずつご注文をいただいてから仕立てるので、余分な生地を出すこともありません。そして何より、出来上がるのは、あなたのためだけの、あなた自身のトラウザーズです。
調整できるところ:
脚幅今回私たちが作ったものほどワイドなシルエットがお好みでなければ、ご心配なく。もう少しすっきりと細身のシルエットにすることもできます。
ウエスト位置ここまでハイウエストがお好みでなければ、お好きな位置に調整できます。

ポケットの刺繍後ろのパッチポケットには、よりフォーマルな雰囲気にしたい場合、Made Toのポケット刺繍を入れないこともできます。また、お好みで片玉縁ポケットに変更することも可能です。

このトラウザーズを、私は本当に誇りに思っています。そして、こういうものを少しずつ、一着ずつ、Made Toの定番コレクションに加えていけることを楽しみにしています。
子どもの頃、教会でこんな歌詞の讃美歌を耳にしたのを覚えています。
「魂が歌えと言うときには、歌わなければならない。」
宗教的な意味でそれが何を意味するのか、今となっては自分でもよく分かりませんし、そもそも私は歌いません。
それでも、こうして心を動かされて生まれた服たちは、もしかすると、私とMade Toの仲間たちがどこかから授かった「歌」なのかもしれないと思うのです。
……たぶん、隅っこのほうで小さく鼻歌を歌うための。
今日はこのくらいで。
ここまで一緒に来てくださって、そして私とこうして時間を過ごしてくださって、ありがとうございました。
*model photograph courtesy of Solveig Boergen




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